赤松ひろかずが考える、アートによるさいたま市のまちづくり。国際芸術祭だけでなく子供たちと現代アーティストの交流を!

日本各地で行われている、現代アートによるまちづくり

「アートによるまちづくり」を知っていますか?

実は日本各地でアートによるまちづくりが行われています。

国内では「瀬戸内国際芸術祭(瀬戸内)」や新潟県の越後妻有(えちごつまり)地域で開催される「大地の芸術祭」等が有名事例です。

他にも徳島県神山町や福島県西会津町でも「アーティストインレジデンス」という取組が行われています。

このような事例を紹介すると「なんか地方都市の話なのかな?」「観光に結びつけようとしているのかな?」と思うかもしれません。

ところが大都市でも、例えば横浜市で、アートによるまちづくりは行われているのです。しかも横浜市の場合は「横浜市中区黄金町」という、ちょっと違法なお店が並ぶ治安が悪いエリアを再生する手段としてアートを活用しているのです。横浜市の取組に興味を持った方は、WEBでぜひ検索してください。

また大阪市では、「福祉+アート」「医療+アート」「まちづくり+アート」「環境+アート」「教育+アート」「観光・産業+アート」の6カテゴリーに分けて、「社会のためのアート」という取組を行っています。

何を隠そう「さいたま市」も、実は「さいたま国際芸術祭2023」を2023年10月7日(土)から12月10日(日)までの65日間開催することになっています。でも、このことを知っている市民はどれくらいいるのでしょうか?

ちなみに、さいたま国勢芸術祭は2016年に1回目が開催され、3年ごとに開催されているのです。

子どもたちにも好影響があるアートの経験

学研教育総合研究所の「幼児白書Web版(2022年9月調査)」と「小学生白書Web版(2022年9月調査)」に、習い事についてのデータがあります。

幼児白書によると、就学前から習い事をする子どもは56.1%。最も人気な習い事は「水泳」となっています。「音楽教室」は5番目(8.6%)で、「絵画教室・造形教室」は1.3%という数値です。

小学生白書によると、小学生の4人に1人が「習い事はない」とのこと。最も人気な習い事は幼児白書と同じく「水泳(24.3)」。「音楽教室」は2番目(16.5%)で、「絵画教室・造形教室」は1.1%という数値です。小学生になると「音楽教室」の人気が高くなるのですね。

何故子どもに音楽や絵画を習わせるのでしょうか?

アートは子どもの教育に良いのでしょうか?

結論からすると「良い」らしいです。

WEBで見つけた「世界のエリートに学ぶ「創造的思考力」の伸ばし方/秋山ゆかり氏(Forbes Japan、2017年11月28日掲載)」には以下のように記述されています。

『欧米では90年代から芸術教育(美術、音楽を含む)の効果を測定する研究が多数行われています。その中でわかってきているのは、芸術は創造的思考力を伸ばすということです。

コロンビア大学の芸術教育センターでは、3つの州の公立学校に通う2046人の子供たちを対象に大規模調査が行われました。芸術の授業に多くの時間を使っている生徒ほど、創造的思考力の能力が向上していることがわかったのです。創造的思考力には、次の4つの能力が含まれています。

・問題解決力:より多くのアイデアや問題解決へのアプローチが考えられる

・オリジナリティ:より多くの創造的な問題解決アプローチを生み出せる

・進化させる力:問題を解決するプランを作成する際、より詳細な案を練ることができる

・粘り強さ:多様な価値観を受け入れ、早計に判断を下さない。また解決策に対してすぐに満足しない

この調査によると、芸術で培った創造的思考力は、業界などに依存せず、すべての分野で発揮できるものでした。』

日本でも経済産業省や文化庁がアートがもたらす経済効果に着目しています。例えば経済産業省の「アートと経済社会について考える研究会」の資料(第1回 アートと経済社会について考える研究会開催資料3「趣旨紙」、2022年6月30日)にはこのような記載があります。

『世界的にも⽂化芸術は、経済社会を⽀える主要なエンジンであるとの認識が共有されているものの、現状、我が国のアート市場規模も、⼀⼈当たり⽂化 GDP も先進国最低レベルに⽌まっているなど、⽂化芸術と実経済社会との間に距離感があると考えられる。他⽅、我が国におけるアートを取り巻く環境にも変化の兆しが⾒られている。まず近年、アートの持つ多様な機能・効⽤に着⽬した研究や取組が進んでおり、美術史学的意義に留まらない価値にも注⽬が集まりつつある。例えば、⼈間社会や⾃然等への新たな⾒⽅や新たな価値観等の着想をアート(創る・⾒る等)から得ることで、企業が⾃らの存在意義を確⽴・共有したり、社会課題解決に向けた発想の涵養やビジネスモデルの構築につなげたり、アートを活⽤した⼈的資本の向上や地域経済社会の活性化につなげたりなど、アートの活⽤場⾯の拡⼤が確認されつつある』

アートは子どもの教育にも効果があり、創造的思考力を伸ばすのでビジネス能力が備わるともいわれています。そのため、小学生になると「音楽教室」や「絵画教室・造形教室」に通わせる親が増えるのですね。

でもアートに触れるために「教室」に通わないといけないのは、外遊び少年だった僕には合点がいきません。僕は音楽教室・絵画教室には無縁の人間ですが、アートは大好きです。なぜ僕がアートを好きになったのか?

それは高校生の時に美術館に行き、本物の作品を見たからだと思います。

文部科学省の「平成30年社会教育調査」によると全国に453もの美術館があり、しかもこの数は年々増加しているとのこと。平成14年度の施設数は383だったので、1.18倍となっているのです。

気軽に子どもたちがアートを体験できるイベントの役割

でも、美術館に行くのはハードルが高いですよね。値段も高いし。子どもが興味を示さず万一走り出したら困るし。

だからこそ気軽に子どもが芸術に触れる機会を作ることが大事であると私は思っています。実際、このような考えでアートイベントを過去3回開催しました。

私(達)が大事にしたコンセプトは「アーティストのためのアートイベントにはしない。子どもが楽しめる体験型のイベントとする。」ことです

2019年に開催したアートイベントには、2日間で約3千人の人が集まりました(アートイベント以外にも「たこ焼きグランプリ」や「フリーマーケット」等も同時開催しましたので、そのお客さんもアートイベントに参加していました)。

2020年はコロナ禍ということもあり少人数を対象としたイベントでしたが、2023年2月に開催したアートイベントには約5百人集まりました。人口5千人の町に、です。

また2023年3月には、私が所属する浦和中ロータリークラブが、「浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業」の工事現場の仮囲いに、幼稚園児や小学生が描いた絵を貼る「仮囲いギャラリー」事業を行いましたが、絵を描いた子どもたちが笑顔になったのはもちろんのこと、歩行者も笑顔になっています。

国際公募で世界の現代アートを浦和に!

このように、教室だけではなく、子どもがアートに触れる機会を増やすことが重要であると考えます。

そして文教都市である浦和・さいたま市においても、アートによるまちづくりは「親和性が高い」と私は考えています。 海外の都市、それこそ浦和区と同じくらいの規模でも、国際公募(International Open Call)は沢山出ています。例えば図書館に1年間飾る壁画を市民や子どもたちと協働で作るアーティストを募集する、というようなプロジェクトは欧米では普通に行われています。

問題は予算です。アートイベントの開催は高額な予算が必要とのイメージがあるかと思います。

ところが今年(2023年)の1月にアメリカのボストン美術館が出した公募は、半年かけてボストン市内の16の放課後スクールを対象に4ラウンドのワークショップを行い、共同で大きな壁画を作りつつ、ボストン美術館の収蔵作品への興味や理解を深める、というものでした。このプロジェクトはアーティストへの謝礼と材料費で3万ドルです。つまり400万円弱。事務局費用を考えても500万円前後ではないかと想像します。

国際公募にすると、公募情報が全世界のアーティストの間を駆け巡るので「さいたま市」がアーティストの脳にインプットされるという効果もあります。

ですが、いきなり国際公募を行う前に、さいたま市民がアートによるまちづくりの効果を知ることが重要だと思っています。従ってまずは私が広野町で行ったような「子どもが楽しむアートイベント(国際公募に比べると費用は掛かるのですが、費用対効果はいいイベントです) 」を開催し、「さいたま市はアートによるまちづくりを行っている」ことをアーティストに知ってもらうことが大事だと考えています。その後、「さいたま芸術祭のディレクター公募」を今回のような日本語だけでの公募ではなく英語による国際公募で行い、世界の現代アートシーンと直結するプログラムを子どもたちに提供できるようにしたいと考えています。

アーティストを日本からだけで選ぶのではなく世界から選ぶことで、そのアーティストが後に有名になり、さいたま市で作ってもらった作品の市場価値が高騰する可能性もあります。

アーティストにも選ばれるさいたま市。

これが私の考えです。

まちづくり経験値99000の男、赤松ひろかずにご期待ください!


タイトルとURLをコピーしました