地震予測は難しい
3.11から12年が過ぎました。数多くの方々が、尊い命を失い、行方不明となりました。
被災自治体の仕事をしている身としては、あの日を思うとき、今なお深い悲しみを覚えます。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
災害はいつ起きるかわかりません。首都圏に住む我々にとって、備えるべき災害のひとつに首都直下型地震があります。残念ながら、自然災害を完全に予測することは、現代の科学技術では無理です。
例えば「緊急地震速報」は、地震波にはP波(Primary「最初の」の頭文字)とS波(Secondary「二番目の」の頭文字、強い揺れによる被害をもたらすのは主に後から伝わってくるS波)があり、P波の方がS波より速く伝わる性質があることに着目し、先に伝わるP波を検知した段階でS波が伝わってくる前に危険が迫っていることを知らせる仕組みです。つまり、予測ではないのです。
従って日頃から災害対策を講じることが大事です。
都心南部直下型地震発生! その時、何が起きる!?
防災と減災
ところで「防災」と「減災」という言葉を知っていますか? みなさんには違いが判りますか?
「災害対策基本法」では防災を『災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。』と定義しています。
内閣府の「減災の手引き」というリーフレットでは、『減災とは災害後の対応よりも事前の対応を重視し、できることから計画的に取り組んで、少しでも被害の軽減を図るようにすることです』と記述しています。
つまり簡単に言えば、
防災:被害を未然に防ぐ、可能な限り被害をゼロにすることが目的。(例)川が氾濫しないように防波堤を作る
減災:災害が起きる前提で、その被害を最小限に抑えることが目的。(例)災害時の連絡先や連絡方法、合流場所を家族内で共有する
となります。皆さんは減災の取組をしていますか?
都心南部直下地震が発生すると、都心は最低3日間は麻痺します。
東京都は令和4年5月に「東京都防災会議」を開催し、「東京都の新たな被害想定」を公表しました。それによると、マグニチュード7クラスの首都直下型地震の発生確率は約70%とされています。
都内で最大規模の被害が想定されるのが「都心南部直下地震」で、 震度6強以上の範囲は区部の約6割に広がり、建物被害は19万棟以上、死者は6千人以上と想定されています。
発災直後、点検や被災等で都内のJR在来線、私鉄、地下鉄が運行停止となります。
また、道路寸断や、交通規制、渋滞等により、バス等の代替交通による移動も困難となります。道路は、高速道路及び主要一般道において、交通規制が実施され、一般車両の通行が規制され、環状七号線の内側方向への流入禁止等の交通規制が実施されます。
少なくとも3日間はこの状態が継続となります。
1週間が過ぎると少し落ち着いてきます。
鉄道については、復旧完了区間から順次運行が再開されますが、多くの区間で運行停止が継続します。仮に橋脚などの大規模被害や線路閉塞、車両脱線等が発生した場合、復旧まで1か月以上の期間が必要となる可能性があります(この可能性が高いです)。道路については、高速道路や直轄国道等の主要路線は段階的に交通規制が解除されますが、その他の道路については段階的に閉塞や交通規制が継続する可能性があります。たとえ道路の交通規制が解除されても、救助などの交通が優先され、一般の交通は制限が続くこととなります。
都心で被災すると、現実的に考えて浦和には数日間、戻れません。
東日本大震災の時、歩いて帰宅した方は、あの時のことを思い出してください。
私は港区田町から浦和まで約8時間かけて歩きました。首都直下型地震が起きた場合、歩ける道路は限定されます。「帰るな!」と言われても帰る人もいると思います。道路はすごい人ごみになると思います。単純に考えても、東日本大震災の時の倍の時間はかかると思います。
港区から浦和まで、健康な成人男性で16時間。
それでも、浦和まで帰れればいいのですが、余震が発生した場合、その余震によって命を落とす可能性があります。そうなると、子どものお迎えは一生できなくなります。
だから、絶対に帰宅しようと思わないでください。
なお、東京都と埼玉県は連携して、「災害時の一斉帰宅抑制」を呼びかけています。東京都では「一斉帰宅抑制推進企業」を募集しており、災害時には「社員を帰宅させない」企業が増えています。帰宅途中に社員が二次災害に巻き込まれると大変だからです。
あなたが勤めている企業はどうですか? 是非一度確認してください。
埼玉県も【帰宅困難者対策~「むやみに移動を開始しない」が基本です~】というホームページを公開していますが、果たしてどれだけの方が見ているでしょうか? 私は仕事から行政のホームページを見る機会がありますが、ほとんどの方は行政のホームページを見ないと思います。行政による広報についても考え直さないといけないと、心から思っています。
大地震が起きた時、学校や学習塾の対応能力は?
このホームページに記載されている「3 一斉帰宅抑制の基本方針<事前に備えを!>」というところを見ると、こんな記述があります。
〇学校などの備え
保護者自身が帰宅困難者になる場合、生徒等の引き取りが困難となる場合があります。その場合には、学校において生徒等の安全確保のため、一定期間生徒等が校舎内に滞在することを想定して食料・飲料水、非常用トイレ等の備蓄を進めてください。
また、保育所や児童館、学習塾などでも同様の取組が必要です。
ちょっと怖くないですか? 学校は指定緊急避難場所に指定されています。災害時は、地元の方や帰宅困難者が指定緊急避難場所である学校に避難してきます。そんな混乱の中で「学校において生徒等の安全確保」ができるでしょうか?
「学習塾などでも同様の取組が必要です。」と記述していますが、学習塾の先生には大学生などのアルバイトも含まれます。アルバイトの先生にも生徒等の安全を確保できるような研修をしている学習塾は、どれほどあるのでしょうか。
具体的な対応の指示もなく、対応マニュアルも作成していない状況で対応できるはずがありませんが、これが現実なのです。混乱の中、学校や塾等の先生が生徒等の安全確保ができるでしょうか? それに、先生だって被災者です。
あまりにも情けない状況だと思いませんか?
首都直下型地震発生時の児童・生徒の保護には、さいたま市として万全の備えが必要ではないでしょうか?
赤松ひろかずなら、こうする!
当たり前のことですが、「平日昼間に大規模災害が発生した場合に、幼児や児童を迎えに来ることが物理的に不可能な世帯・子どもの数」を把握する必要があります。これについては、現在でも幼稚園や保育園、小学校に対して「親の勤務先」を提出していると思いますが、このデータをきちんと整理することが大事です。
以下は、赤松ひろかずの私案です。
平日昼間に大規模災害が発生した場合、幼児や児童の送迎が物理的に不可能な者の定義(案) |
通勤に公共交通機関を利用しており、その利用時間が15分以上の者 |
通勤に自家用車を利用しており、その移動時間が15分以上の |
通勤に自転車を利用しており、その移動時間が30分以上の者 |
勤務先が「一斉帰宅抑制推進企業(東京都の名称)」に登録されている者 |
上記4項目のうち一つでも該当する場合は「送迎不可能世帯」とし、その世帯の子どもは数日間の支援対象者とします。
対象施設:幼稚園、認可保育所等の施設、小学校、学童保育所
情報の更新:各学期開始時に情報を更新
現在、浦和区で指定緊急避難場所に指定されている小学校は13校、中学校は4校、高等学校は3校あります。この他に7つの公園が指定されていますが、数日間過ごすことを考えると、下記の20校に子どもたちは避難することとなります。
小学校:高砂小学校、常盤小学校、木崎小学校、仲本小学校、本太小学校、北浦和小学校、仲町小学校、上木崎小学校、岸町小学校、針ヶ谷小学校、大東小学校、常盤北小学校、埼玉大学教育学部付属小学校
中学校:常盤中学校、木崎中学校、本太中学校、大原中学校
高等学校:浦和高等学校、県立浦和西高等学校、県立浦和第一女子高等学校
対象施設の子どもたちは、指定緊急避難場所までの移動の安全が確保されれば、最寄りの指定緊急避難場所に避難します。従って、どの指定緊急避難場所に避難するか、事前に決めておく必要があります。
下図は簡単なイメージ図(赤松ひろかず作成)です。
C小学校にはA幼稚園、B幼稚園、D保育園、E保育園の幼児や児童が避難してくるとします。
各施設の送迎不可能世帯の子どもの数は事前に把握できています。この場合、C小学校に160人の子どもが集まってくることとなります。
このC小学校の支援を行う団体についても事前に決めておきます。例えば、C小学校の近くに百貨店がある場合、百貨店をC小学校の支援元とします。もちろん、百貨店も開店時間帯は来店者などがいるため、まずは来店者の安全確保などの作業を行いますが、事前にどのような支援を行うかを決めておけば、大きな混乱は生じません。
例えば百貨店が行う支援としては「子どもたちへの衣服(下着を含む)の提供」が考えられます。テナントの在庫を集め、それをC小学校に対して提供するのです。
このようにC小学校を支援することとなった各施設や団体が、自分たちの特徴を踏まえて事前に支援する内容を決めておくのです。
この時大事なのは「人数分を提供しなければならない」と考えないことです。その時支援できることをすればよいのです。支援提供者だって被災者なのですから。
予算が無ければ、まずは赤松ひろかずが動きます!
残念ながらこのような仕組みを構築している自治体を私は知りません。
さいたま市でこのような仕組みを構築するためには、指定緊急避難場所の近くにある団体の整理、各団体がどの様な支援(内容、数量等)を行うことができるのか把握する必要があります。
残念ながら、さいたま市では令和5年度にこのような調査を行う予算は確保されていません。早く確保できたとしても補正予算以降となります。
そこで赤松ひろかずが、指定緊急避難場所の近くにある団体を調べ、それぞれがどの様な支援を行えるのかを把握します。私はまさに行政などからこのような調査をコンサルタントとして委託されてきたのです。団体をピックアップし、ヒアリング調査・アンケート調査を行って、整理するのはお手の物です。つまり、赤松がこの調査事業をさいたま市から受託したと考えればいいのです。
まずは一つの小学校を選定し、そこに避難する対象施設及び人数を把握します。そして、小学校に対して支援できる団体を調査し、ヒアリング調査を行って支援できる内容をまとめます。この「サンプル調査」を3校程度行います。
そしてサンプル調査の結果を踏まえ、対象施設や各団体に対して調査する内容を整理し、さいたま市役所から各対象施設・各団体に調査票(アンケート用紙等)を送付し、その結果を集計します。
まちづくり経験値99000の男、赤松ひろかずにご期待下さい!