さいたま市の空き家問題、赤松ひろかずはこう考える(後編:住宅から時間貸しスペースへ)

さいたま市には賃貸用住宅の空き室が沢山あります

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前述のとおり、さいたま市内には多くの賃貸用住宅の空き室があります。

例えばとある不動産ポータルサイトの、3/20における「さいたま市浦和区の登録物件数」は7,300件となっています。

賃貸住宅を借りる場合、「賃料」「間取り」「立地」「設備」「バストイレ別」等の項目に優先順位をつけて、最も希望に合う賃貸住宅を借りることになると思います。では、人気のない賃貸住宅としてどのような賃貸住宅が思い浮かびますか? 築年数が古い住宅、が思い浮かびませんか?

例えば、登録されている賃貸住宅で最も築年数が古い物件をみると「築53年のワンルーム」がありました。

正直、他と比べてものすごくメリットがないと、なかなか「築53年のワンルーム」の賃貸住宅を借りようとは思わないですよね

貸主だっておそらくそう思っています。競争できるレベルにするまで手を加えるにはお金がかかるし、お金をかけても借主が現れるとは限らない。このままにしておいても損はないという判断で、この賃貸住宅の所有者は入居者を募集しているのです。

発想の転換! 「住宅」から「時間貸しスペース」へ

ですが「住宅」ではなく「時間貸しスペース」としてこの物件を見たらどうでしょうか?

コロナ禍により、在宅勤務をすることになった方は多いと思います。特に一人で賃貸住宅に住んでいる方にとって、オンライン会議は苦痛の種のひとつだと思います。駅近くに「レンタルボックス」なるものがありますが、緊急な時を除けば正直使いたいとは思わないですし、駅まで行くのであれば通勤してしまいますよね。

では、自分が住んでいる家の近くに、築53年だが内装はきれいでトイレもついているレンタルスペースがあった場合、会議の2時間だけ使いたいと思いませんか? 会議が終われば自宅に戻って仕事をすればいいのですから。

つまり「住宅」ではなく「他の使い方のための場所」とすることで、賃貸用の住宅の空き家を減らすことができるのです。また、所有者は賃料ではなく使用料という収入を得ることが可能となります。

他の使い方としては、例えば「オンライン会議用の部屋」「SNSの撮影用の部屋」「お菓子作りの部屋」等が考えられます。ニーズをとらえて転用すればいいのです。

「お菓子作りの部屋」の場合、一人暮らしではとても購入できない設備が置いてあり、お菓子作りができる部屋として利用者を募集すれば、多少利用料が高くても利用者は一定数いると思います。

3LDKの賃貸住宅を5部屋の多用途シェア空間とし、各部屋でオンライン会議等ができるようにすることも考えられます。

数字で考えてみる

コンサルタント赤松ひろかずは、必ず具体的な数字で考えてみることにしています。

検討条件

・1部屋の利用料は1時間300円(利用者の負担額は、1回2時間月5回利用でも月額3千円)。

・稼働時間は7時から21時までの14時間。

・1部屋1日平均4時間稼働。

所有者の収入は?

4h×300円×5室=6,000円/日

30日稼働した場合、18万円/月。

場合によっては賃貸住宅として貸すより良い収入が得られる可能性もあります。

住宅所有者と不動産業者の意識を変えるには

「その他の住宅」にしても「賃貸用の住宅」にしても、住宅以外に転用することで利用される可能性があります。

しかしこのような考えを、一般の方はもちろんのこと、不動産業者の方もあまりしないと思います。従って、まずは住宅所有者や不動産業者の意識を変える必要があります。これは不動産関係団体に協力を要請し、セミナーなどを開催することが考えられます。

赤松ひろかずは長年、不動産関係団体と仕事を行ってきました。埼玉県にもさいたま市にも、不動産関係団体とのネットワークを有しています。

行政にとってもメリットが生まれる仕組みを提案

そして行政にとっても、このような施設が駅近くでなく住宅街にできるメリットがあります

ひとり暮らしの方の多くは「防災グッズ」の備蓄を行いません。自治会で防災グッズの備蓄を行っていますが、一人暮らしの方は自治会との接点がありません。大規模災害が発生した場合、このような一人暮らしの方の安全確保、防災グッズの提供も行政としては大きな課題です

そこで、「その他の住宅」や「賃貸用の住宅」、さらに「空き室となっているオフィスビル」をこのような「多用途シェア空間」とするオーナーに対して、 「多用途シェア空間」とするための改修費用(玄関や各部屋にスマートキーや防犯カメラを導入するための費用等)の一部を、行政が負担します。

その代わりとして、「多用途シェア空間」の一角に防災グッズを設置させてもらい、災害発生時に近くの人が災害グッズを利用できるようにします

つまり、「空き家を減らす」ことと「防災対策」「防犯カメラを活用した防犯対策」を同時に行えるのがこの事業なのです。

このような斬新な発想ができるのは、現場で空き家問題に向き合い、様々な事例について全国を対象に調査を行った、赤松ひろかずだから! なのです。

さいたま市の空き家率を日本一小さくしましょう。そして、一人暮らしの方にも災害時に防災グッズがいきわたるような街にしましょう

まちづくり経験値99000の男、赤松ひろかずにご期待下さい!

参考文献

DIYガイドブックの内容、及び、著者が記述した論文を読んでいただければと思います。

「不動産ストック活用における賃貸の可能性~多様な居住の実現に向けた賃貸手法による不動産ストック活用~」

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