高齢者だけが「孤独死」するわけではない。赤松ひろかずが読む「孤独死」のデータ。

不動産業者さんから聞いて知った「孤独死」という言葉

孤独死。嫌な言葉です。

僕が「孤独死」について知ったのは不動産業者からの情報提供でした。

「○○という、事故物件を掲載しているサイトがある。そのサイトになぜか自分が管理する物件が「事故物件」として掲載された。しかも「孤独死」と書かれて。警察も捜査して、事件性はないので事故物件ではないのに、「孤独死」ということで勝手に掲載された。削除を要請しても削除してくれない。」

不動産業界では、これまでも事故物件とは何か? 孤独死した場合は事故物件に該当するのか?という問題・議論がありました。このため、国土交通省は2021年10月8日に事故物件に関するガイドラインを新たに制定しました。

ガイドラインでは、事故物件とは「自然死や不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件のこと、と定義しました。つまり、自殺や他殺が発生した物件や、自然死や事故死であっても特殊清掃が行われた物件を事故物件として取り扱おう、ということです。

では「特殊清掃が必要になる死」とは何でしょうか? これに該当する者のひとつに「孤独死」があります。

データから見る「孤独死」

「孤独死」の確立した定義はなく、また全国的な統計も存在していません。孤独死のデータとして利用されることが多いのは、東京都監察医務院が公表しているデータです。

これによると、23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数をみると、平成14年は1,364人であったのに対し、平成30年は3,882人と約2.8倍となっています。

東京都監察医務院のデータをもとに赤松作成

実は若者も「孤独死」している!

では孤独死は高齢者だけの問題でしょうか? 実は、若者も孤独死をしているのです。

「日本少額短期保険協会」が「孤独死現状レポート」を公表しています。孤独死現状レポートは「協会孤独死対策委員会」各社が持ち寄った孤独死支払案件データを統計化し、賃貸住居内における「孤独死の実像を統計データで示した」資料です。対象は「賃貸住宅居室内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」となっています。

日本少額短期保険協会のデータをもとに赤松作成

最も多いのは60台ですが、30代で約500人が孤独死をしています。またデータをみると圧倒的に男性が多くなっています。

死因をみると「病死」が最も多くなっています(66.8%)。「自殺(9.8%)」についてみると、悲しいことに、孤独死の自殺者は男性よりも女性が多く、とくに20代までの年代が孤独死の自殺者の4割近くを占めています。

発見されるまでには平均で18日も!

では、発見までに要する時間はどれくらいでしょう。これも「孤独死現状レポート」に記載されていますが、「3日以内」が最も多いのですが(41.2%)、15日以上経過して発見される割合も3割を超えており、平均日数をみると18日となっています。

男女別でみると、女性の場合約半数が3日以内の発見につながっている一方、男性は女性より8.4ポイントも少ない状況となっています。

発見者は近親者(親族・友人)が39.4%、職業上の関係者(管理会社、福祉事業者、警察)が49.6%、他人が11.0%となっています。男女で比較すると、女性は男性よりも、近親者が発見に至るケースが10ポイント程度多くなっています。

このことから、男性の方が日頃の人づきあいが下手だということがわかります。

簡単ではない見守りシステムの導入

孤独死を防ぐにはどうすればいいか?「簡単だよ。見守りシステムを導入すればいい。」とお思いになると思います。ところが見守りシステムの導入はなかなか進まないのです。

見守りシステムで多い仕組みは、見守り対象者が行動すると登録者にメール等の連絡が行く、というシステムです。古くはポットで製品化した事例があります。また、東京ガスは「東京ガスのくらし見守りサービス」として、センサーを冷蔵庫やトイレドアなどに設置して、扉の開閉を感知して家族のスマホに通知する仕組みを提供しています。

ところがこれが見守られる側からするとイヤなんです。何時に冷蔵庫のドアを開けた、何時にトイレに行った、という生活が見張られているような気がしてしまうのです。その結果、トイレに行くのを我慢するようになったりして、余計に体調が悪くなる原因になった、という事例を聞いたことがあります(東京ガスの事例ではないですよ)。

また、決まった時間に電話連絡をしたり、緊急ボタンを持たせたり、というサービスが提供されていますが、これも決定打にはなりません。

それはそうですよね、見守られる側の立場になった商品開発になっていないですよね。

このような課題を踏まえ、例えば「8時間の間に扉の開閉行為がなかった場合、登録者にメールなどの連絡がいくシステム」を導入している事例もあります。

何時に行ったのかがわかるのではなく、8時間の間に行ったか行かなかったかで判断しようというシステムです。これは少しはやっているのですが、登録者に連絡が入ったので駆けつけてみると、見守り対象者が自治会の宿泊旅行に行っていた、なんていうケースもあるのとことです。

どんなシステムも一長一短ありますが、とにかく見守りシステムの活用が解決策であることは間違いありません。

次回は、この問題についての赤松ひろかずが考える解決策をご紹介します

まちづくり経験値99000の男、赤松ひろかずにご期待ください!

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